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相続税の基本と流れ 遺族が行う手続きガイド⑮

一般の方にとってあまりなじみのなかった相続税。

 

その対象がごく一部のお金持ちだけに限られていたからですが、平成27年に制度が改正され、より多くの方が相続税の申告対象となっています。

 

身近になった相続税について覚えておきたいことがあります

 

まずは相続税がかかるかどうかの確認をしなくてはなりません。

 

亡くなった方の遺した財産が、相続税の非課税枠を超えていたら、10か月以内に相続税の申告書を作成し、税務署に提出しなければなりません。

 

それに合わせて相続税の納付も必要なので、相続手続と並行して以下についても確認しておきましょう。

 

・相続税がかかるか・・・財産の評価方法

・相続税はいくらか・・・財産の計算方法

・財産ごとの評価方法・・・土地・株・保険など

・申告書の書き方・・・申告書のひな型

・申告もれがあったら・・・税務調査やペナルティー

 

 

相続財産の評価方法

 

相続税がかかるかどうかを知るために、相続財産の評価をしてみましょう。

 

故人の財産が「どこに」「何があるか」把握できたら、次はその財産が「いくらなのか」を確認していきます。

 

◆まずは故人の相続財産を評価する◆

 

故人が残した財産(相続財産)が相続税の決まりに基づくといくらなのかを計算することを財産評価といいます。

 

相続税には、財産がこの金額以下なら相続税はかからないとう非課税枠(基礎控除額)があります。

 

財産が基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告や納税が必要になりますが、これに満たなければ、相続税に関する手続は必要ありません。

 

「相続財産を正しく評価する」ということが、相続税の手続における第一歩で、一番大切なことでもあるのです。

 

◆主な相続財産ごとの評価方法◆

 

①土地

宅地・・・(路線価方式)路線価×面積借地権・・・(倍率方式)固定資産税評価額×倍率

貸宅地・・・自用地の評価額×借地権割合

貸屋の敷地・・・自用地の評価額×(1-借地権割合×賃貸割合)

 

②建物

自宅・・・固定資産税評価額×1.0

貸屋・・・固定資産税評価額×70%

 

③手許現金・・・死亡日の残高

 

④普通預金・・・死亡日の残高

 

⑤定期預金・・・死亡日の残高

 

⑥株式

上場株式・・・死亡日の終値(ただし死亡月・その前月・その前々月を参考にすることも可能

非上場株式・・・議決権割合に応じ、原則的評価方式か特例的評価方式のどちらかで評価する

 

⑦投資信託・・・死亡日の時価

 

⑧死亡保険金・・・非課税枠がある

 

⑨死亡退職金・・・非課税枠がある

 

⑩個人年金・・・一定の評価方法により評価する

 

⑪ゴルフ会員権・・・取引価格70%(預託金がない場合)

 

⑫金現物・・・死亡日の小売価格

 

⑬自家用車・絵画・家財・・・死亡日の時価

 

⑭電話加入権・・・地域により異なる

 

 

課税遺産総額を自分で計算してみましょう!

 

相続財産を評価して、故人の財産がいくらなのかがわかったら、実際に相続税を計算するステップに進みましょう。

 

まず、①財産の評価額を合計し、②債務などをマイナスします。

 

その後③基礎控除額を差し引き、最終的に相続税がかかるかを判断します。

 

①財産の評価額を合計する

 

「相続財産」+「みなし相続財産」+「生前贈与財産の一部」

 

相続税がかかる財産は、土地建物や預貯金などの相続財産だけではありません。

 

死亡保険金や死亡退職金などのみなし相続財産も、故人の死亡に伴って受け取るものなので、相続税がかかる財産に含めます。

 

さらに、故人が亡くなる前3年前以内にもらった財産や、相続時精算課税制度という方法でもらった財産などの生前贈与財産も加算します。

 

②マイナスできるものを差し引く

 

「小規模宅地特例」+「非課税財産」+「債務・葬式費用」

 

死亡保険金や死亡退職金、自宅の土地などは、非課税枠や課税価格の減額があるため、①の金額から差し引きます。

 

また、相続人が負担した債務、葬式費用や、国や公益法人への寄附金もマイナスします。

 

これらを差し引いた後の金額を課税価格の合計額と呼びます。

 

③基礎控除額(非課税枠)を引く

 

実際に相続税がかかるのは、課税価格の合計額から基礎控除額を引いた残りの課税遺産総額の部分です。

 

課税価格の合計額が、基礎控除額よりも大きな場合に相続税がかかり、課税価格の合計額が、基礎控除額と同じ、もしくは低い場合は相続税がかかりません。

 

 

基礎控除額がいくらになるか計算してみましょう

 

基礎控除額は法定相続人の人数に応じて決まります。

 

基礎控除額・・・3,000万円+600万円×法定相続人の数。

 

例えば、夫が亡くなり、妻と子ども2人が相続人の場合の基礎控除額は以下のようになります。

 

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 

このように、自宅と金融資産で4,000~5,000万円程度の財産をお持ちの方も、相続税がかかる可能性があるのです。

 

相続税の税率は、法定相続分に応じた取得金額で10~55%の8段階となっています。

 

 

各人の相続税額を計算しましょう

 

相続税の計算は、「課税遺産総額」に税率をかけるのではなく、相続人が財産をいったん法定相続分で分けたと仮定して、計算を進めます。

 

①財産を法定相続分で分けたと仮定した場合の相続税を計算する。

 

例えば、9,800万円の財産を妻と子A・子Bの合計3人で相続する場合には、9,800万円から基礎控除額の4,800万円(3,000万円+600万円×3人)を差し引いた5,000万円が、課税遺産総額となります。

 

この5,000万円を法定相続分で分けたと仮定した取得分を求め、その取得分に税率をかけて、仮の相続税を計算します。

 

妻・・・5,000万円×法定相続分1/2=2,500万円

子A・・・5,000万円×法定相続分1/4=1,250万円

子B・・・5,000万円×法定相続分1/4=1,250万円

 

②相続税を合計する

 

①で計算した仮の相続税は、妻が325万円、子A・Bが137万5,000円ずつになり、それを合計すると600万円になります。

 

妻・・・2,500万円×15%-50万円=325万円

子A・・・1,250万円×15%-50万円=137万5,000円

子B・・・1,250万円×15%-50万円=137万5,000円

合計600万円

 

③実際に相続した財産の割合で相続税の総額をあん分する

 

②で計算した「相続税の総額」600万円を、妻と子A・Bが実際に相続した財産の割合あん分します。

 

各相続人が負担する相続税の税額は、2段階で計算するため少し手間がかかりますね。